ポーランド国鉄 寝台列車(TLK ROSEWIE)乗車録【グダニスク→クラクフ】

今回はバルト海に面したポーランド北部の都市・グダニスクから、ポーランド南部の古都・クラクフを結ぶ寝台列車に乗ってきたので、そのレポートを。

タイトルにある“TLK”とは列車の種別で、Twoje Linie Kolejoweの略。日本語に直訳すると「あなたの列車」という意味。ポーランド国内を走るEIPICといった優等種別よりも安価に移動できる列車で、前者が特急とするならば、後者は急行、準急ぐらいのイメージ。なので停車駅は結構多い。

ちなみに、TLKという列車種別自体に「夜行列車」という意味合いはない。昼行のTLKと夜行のTLKがあるのだ。

今回の乗車列車

2024年9月17日(火)、22:50のグダニスク中央駅(Gdańsk Główny)。

今回乗車するのは、グダニスク中央駅を23:08に発車する、TLK53172便ROZEWIEロゼヴェKraków Głównyクラクフ中央駅

列車はグダニスクのもう少し北にあるGdyniaグディニャという街が始発。グダニスクを出た後は首都のワルシャワを経由せず、BydgoszczビドゴシュチPoznańポズナンWrocławヴロツワフといったポーランド西部の主要都市を経由してクラクフへと向かう。ポーランドを南北に縦断するロマンある列車という訳だ。

後ろにTLK16170便 “KarkonoszeカルクノーシェJelenia Góraイェレニャ・グーラも併結しており、途中のWrocław Głównyヴロツワフ中央駅で切り離す。ちなみにJelenia Góraはチェコ国境にある山あいの街(調べたらめっちゃきれいな街で行きたくなった)

TLK53172便 RozewieとTLK16170便 Karkonosze の時刻表(2024年11月21日現在)

グダニスクからクラクフまでは731㎞、始発駅のグディニャからは752㎞のロングランになる(参考までに、東京~岡山間が732㎞だ。 こう書くと大したことない気がする)。

今更だが上の時刻表を見てわかる通り、Głównyグゥヴニというのがポーランド国内の主要駅を表す単語。一般的には「中央駅」というように訳され、Główna, Główneという変化形もある(変化の法則性はよくわからない)。ドイツでいうとHbf.(Hauptbahnhofハウプトバーンホフ)、チェコのhl.n.(hlavní nádražíフラヴニ ナードラジー)といったところか。

乗車

乗車するTLKはグダニスク中央駅23:05着/23:08発と、わずか3分間の停車。最初ホームを間違えており、別ホームに列車が入線してきてから間違いに気づいた。危ねぇ。

当たり前だが、既に乗降が始まっていた。

ホーム上にある電光掲示板。TLK53172便の情報しか流れてないが、一応Jelenia Góra行が併結されていることも示されている。

アプリで事前に購入していたチケットをスマホに表示し、車掌に確認してもらってから足早に乗車。適当に乗車口を選んだが、どうやらちょうど自分の寝台がある車両だったらしい、ラッキー。

料金は運賃・寝台料金込みで163zł6,200円(1zł=38円で計算)。安い!!!

発車

定刻23:08にグダニスク中央駅を発車。客車列車に特有のゆったりとした滑り出しだ。

寝台の様子

今回予約したのはクシェットという寝台車。1つの部屋に2段ないし3段ベッドが取り付けられている相部屋形式の寝台車だ。今回の列車は2段ベッド。

自分がコンパートメント室に入った時には、既にグディニャから乗車していると思しき女性が乗っていた。軽く挨拶を交わし、身の回りを整理する。

クシェットの様子(終着駅到着後に撮影)

ちなみに今回は上段にした…ものの、翌朝の景色を楽しむなら下段の方が良いだろう。まあ、防犯上心配がある、寝顔を見られたくない、というのなら、上段の方が良いとは思うけど。

上段にはコンセントが見当たらなかったが、下段にはパソコンのマークがついたシールが確認できるので、おそらく下段にコンセントがあるはず。

夜はこんな感じ。足元を照らす常夜灯が妖しげに光っている。

横になってみたが、結構余裕がある。というのも、足元にバックパックを置いていたものの、それでも斜めになればギリギリ足には干渉しないぐらいの広さだった(筆者は174㎝)。

また、しっかりレールが整備されているのか、列車の揺れは気にならないし(上段だから?)、停車頻度もかなり多いにもかかわらず、途中のヴロツワフで長時間停車していた時と、車掌が起こしに来たカトヴィツェ以外では目を覚まさなかった。

車内の様子

荷物を寝台に置いた後、しばし車内を散策。

入口にある液晶モニターと停車駅案内。先ほど述べた通り、TLKは安価な代わりに停車駅が多く、始発駅のグディニャ中央駅から終点のクラクフ中央駅までの間、実に28もの駅に停車する。

次の停車駅はTczewトチェフ。この綴りでトチェフ…相変わらずポーランド語の発音は難解だ。

寝台車の廊下。人がギリギリすれ違えるぐらいの幅が寝台らしくて非常に良い。

廊下には入口の表示とは別に電光掲示板が取り付けられている。2枚目のように停車駅と到着時刻、発車時刻まで表示して丁寧にスクロールしてくれるのだが、何せ停車駅が多く、全部スクロールするのに3分ぐらいかかっていた。長旅が感じられていいね。

翌朝

快適な寝台列車の旅をすること8時間。車掌のKatowiceカトヴィツェという声で目を覚ます。どうやらアナウンスのため、各部屋を回っているようだ。

カトヴィツェはクラクフの北西80kmにある都市。5分遅れて到着したようだ。ポーランド国鉄のアプリでは運行状況も確認でき、非常に便利。

クラクフまでは残り1時間あるので、もうひと眠りすることにした。

この記事を書いていて今更気付いたが、冒頭で挙げたダイヤと、筆者が乗車した時とで若干運行ダイヤが異なる。当時は市内中心部にあるKatowice駅にそのまま停車したのだが、現在のダイヤは郊外のKatowice Ligotaという駅を経由する関係で時間がかかっているのではないかと思われる(遠回りかつ方向転換が必要になるため)。

(イメージ)

調べたところ、逆方向(クラクフ→グダニスク、グディニャ方面)はそのままKatowice駅に停車する模様。何故だろうか…

クラクフ着

カトヴィツェからひと眠りし、気づけばクラクフ到着間近になっていたので急いで身支度をする。アプリの情報だと3分遅れで到着するとのことだったが、定刻通り到着した。やるな、ポーランド国鉄。

陽の光が眩しい。

これまで牽引してくれた機関車。EP07という電気機関車で、どうやらポーランド国内で最もよく見られる形式らしい。ブルーのカラーリングに丸いライトが可愛らしい。

客車側面のPKP Intercityのロゴ

クラクフ中央駅。古都に相応しい、堂々とした風格のある駅舎だった。

おわりに

グダニスクからクラクフは、ポーランド国鉄の最速達列車・EIPでも5時間弱はかかる。観光に充てられる昼間の貴重な時間を移動で消費するぐらいなら、寝台列車で夜移動してしまうのも一つの手だ。

旅行当時、寝台TLKについての記事がネットに転がっていなかったものの、安いし、乗り心地もいいし、ぜひオススメしたい。

それでは。

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