Agodaやbooking.comで香港の宿を調べていると、やたらヒットする地名がある。尖沙咀、これは香港・九龍半島側の繁華街の地名だ。
では、尖沙咀はホテル街なのか。否。上記でヒットするようなホステルは、すべて重慶大厦という巨大なビルに入っているのだ。
アクセスはすこぶる良く、MTR荃湾線・尖沙咀駅の出口を出て徒歩1分という圧倒的好立地。
今回はそんな安宿マンションの集合体、重慶大厦に1泊したので、内部を含めてそのレポートを残したい。
いざ中へ
マンション内は薄暗く陰気臭い雰囲気で、そこら中にある飲食店から漂ってくる臭いが混ざり合い、さながら異空間のよう。
昔は香港マフィアのアジトがあっただの何だの噂されるこの重慶大厦だが、香港当局の努力も実り、現在はかなり環境が改善されたらしい。
私がこのマンションに来た理由は3つ。1つはもちろん宿泊のため。もう2つは両替と腹ごしらえのためだ。
マンション内の両替商
両替に関してだが、このマンション内にある両替所はかなりレートが良いと聞いていたためだ。
この日(2024/4/29(月・祝))は4/26(金)に大きく円安に振れた影響がまだ残っており、1HKD(以降$と表記)=19.9〜20.1円辺りで推移し続けていた。そんな中、1$=20円(1円=0.05$)で交換すると言っているのだ。まさに破格のレートである。
ここで2万円を即$1,000に交換してもらい、次は飯だ。
プチインド?
重慶大厦の中は旅行客から地元住民など、様々な人種で溢れているが、中でも勢力を誇っているのがインド人。
マンションの入口で客引きをする者もいれば、両替商をやっていたり、飲食店をやっていたり…ここではプチインドコミュニティが形成されている。
そんなマンション内にはインド料理屋が大量に軒を連ね、「香港で美味いインド料理を食べたいならここに行け!」とまで言う人もいるとか何とか。そんな訳で自分も訪ねてみることに。
2階に上がり、良さげな店を発見。美味そうだしここにしよう。
着座。よく見たらケバブの種類も豊富で、トルコ料理も兼ねていたり?とりあえずチキンビリヤニを注文。5分ぐらいで出てきた。
量多っ。間違えて大盛でも頼んだか?と思わせる程の圧倒的物量に困惑しつつ、とりあえずチキンに喰らいつく。
…美味い!これは今まで食べたどんなチキンよりも美味いかもしれん。ライスの部分にはカレーソースがかかっており、これも美味い。
ただ、最初は夢中で食べ進められたものの、3分の2を過ぎた辺りからかなりしんどくなってきた。なんとか完食はできたものの、突然のフードファイトですっかりK.O.されてしまった。
ちなみに値段は$70≒1400円。まあ、量を考えれば妥当か?と思っていたら、下の階に$50でビリヤニを出す店もあった。ただ、チキンは付いてなさそうだったので、まあ適正料金か。
席の横には何かおぞましいものが出てきそうな出口があった。衛生面が気になる人は、このマンションに足を踏み入れない方が良さそうだ。
ホステルについて
さて、それでは最大の目的である本日の宿へ。
このマンションはいくつかのブロックに分かれており、ブロックごとに使用するエレベーターが異なる。今回私はDブロックの宿を予約している。天井にブロックへのルートは書いてあるので迷わず行けた。
自分の宿泊する宿がどの階にあるかをエレベーター横の張り紙で確認する。
エレベーターは2基あるが、左は偶数階、右は奇数階にしか停まらないようになっている。今回私は12階のピアジェ・ゲストハウスを予約しているので、左へ。
それにしてもエレベーターが中々来ない。各階に停まっては人を拾い、時には台車を載せ降りてくるのだが、それが長い。しかも定員が6,7名なので、1回で乗り切れないこともしばしば。私も1回見送り、乗れたのはDブロックに着いてから5分ほど経ってからだった。
12階に到着すると、薄暗い廊下にむき出しになった配線が迎えてくれた。
興味本位で窓から下を覗いてみると…
…錆びついたパイプに煤けた外壁、無数の室外機に得体の知れない臭い。まるで昔の九龍寨城を思わせるかのような雰囲気である。
そしてチェックインをしようとドアを押したものの、入口にはロックがかかっていた。ドア左の呼び鈴を何回か押してみるが出ないうえ、ドアに書かれている番号に電話してみたものの、繋がらない。どうしたものかと20分ぐらい待っていると、宿のオーナーらしき女性が現れたので、ようやくチェックインできた。
予約したのか?紙の予約証明書はあるか?と一悶着ありながらも無事チェックイン完了。チェックイン時には水とアメニティ類が必要か聞かれた。
鍵にはICカードが埋め込まれているので、以後は先ほどの呼び鈴にこれをかざすことでホステル内を出入りできる。
肝心の部屋だが、噂通り狭い。ベッドも174㎝の自分が横になってギリギリだ。しかし、エアコンはしっかり効くうえ、Wi-Fiも快適に使える。最低限の生活環境は確保されているので、部屋に入ってさえしまえば案外快適だ。
こちらがバスルーム兼トイレ。シャワーを浴びると当然のように便座がびしょ濡れになるのはもはやご愛嬌。
便座の上にあるのは給湯器のようだが、お湯は一度も出なかったので、発狂しながら冷水シャワーを浴びる羽目になった。
チェックアウト時、鍵をどうすればよいか一応宿のGmailで聞いたら、こちらの返事は爆速で帰ってきたので、そこは高評価。ちなみにフロントに置くだけでよかったようだ。
まとめ
いかがだっただろうか。
間違いなく香港のディープな雰囲気が味わえるマンションだと自分は思うが、これが苦手な人もいるはず。
ただ、両替のレートが良かったり(!)、インド料理が美味かったりするので、勇気を出してトライしてみるのも良いかもしれない。ただ、部屋でお湯が出ないのは個人的に致命的だと思ったり。
そんな訳で、もしこれを見て重慶大厦に泊まってみようか、と思う方がいれば、真夏で冷水シャワーでも全然心地よい時期か、真冬で1日ぐらいシャワー浴びなくても良いや、ぐらいの時に宿泊するのをお勧めしたい。
以上、香港の混沌を煮詰めた重慶大厦レポでした。
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