2024年9月18日(水)、寝台列車で到着したポーランド南部の大都市・クラクフ。午前中の予定が未定だったので、適当に旧市街をフラフラ歩きつつ、トラムを撮影することにした。
旧市街歩き
中央駅から旧市街へ
旧市街に近い西側の出口からクラクフ中央駅を出る。駅舎は“GALERIA KRAKOWSKA“という大型ショッピングモールとの複合施設で、近代的なガラス張り建築になっている。日本から持ってきたマルチタップが故障してしまったので、ここのショッピングモールにはお世話になった。
目の前に早速トラムの電停があるが、これには乗らない。中央駅から旧市街の入口までは歩いて5分もかからないからだ。
旧市街の入口にあるバルカバン。これは街を護る城壁の一部として建設された円形の砦で、1498年に完成したものだ。
フロリアンスカ門をくぐり、中央広場へ向かうフロリアンスカ通りに入る。昨日までいた、間口の狭い建築が所狭しと並んでいたグダニスクの旧市街とは違い、パステルカラーが施されたゆとりのある建築が並ぶ。
正面に見えるのは世界遺産・聖マリア教会。工事中のため、全容が綺麗に見られなかったのが残念だった。
中央広場
中央広場に着くとまずはその広さに圧倒されるが、それもそのはず。クラクフの中央広場はヨーロッパに現存する広場の中で最大規模のものだからだ。
ポーランド国家黎明期から、中世の大国として君臨したポーランド・リトアニア連合王国時代の途中まで首都が置かれていたのがここクラクフ(ワルシャワへの遷都は1611年)。由緒ある古都ということで、よく日本の京都と比較されがち。まあ、京都は現在でも日本の首都ですけどね。
また、クラクフの街並みで特筆すべきことがもう一つ。それは、第二次世界大戦による被害が、国内他都市のそれと比べると圧倒的に少なかったこと。それ故、ポーランド国内では今でも中世そのままの街並みが残る稀有な例となっており、「クラクフ歴史地区」として世界遺産にも登録されている。ワルシャワ蜂起博物館の記事でも見たように、蜂起への報復として完膚なきまでに街が破壊されたワルシャワを筆頭に、戦争で跡形もなくなった都市があることを考えると感慨深い。
カポ、カポ…と聞こえてきたのでふと目をやると、ばん馬というには細すぎるものの、サラブレットにしては太い図体の葦毛の馬が悠々と馬車を引いていた。
陳腐な言葉にはなるが、これこそヨーロッパという風情が感じられた瞬間だった。
トラム撮影
中央広場の南から始まるグロツカ通りを下ると、トラムの線路が横切る通りに出るので、ここからトラム撮影を開始。
Plac Wszystkich Świętych電停
聖サンフランシスコ教会をバックに電停から撮影。これは航空機で有名なボンバルディア社製の車両だ。航空機事業しか知らなかったので、車両の製造もやっているのかと意外な気持ちになった。
当たり前だが併用軌道なので、先ほどの馬車もここを通る。通行の妨げにならないのか…?
続いて来たのは、Stadler Rail社製のTangoという低床車。クラクフのトラムは青色らしい。そして体感8割ぐらいのトラムが低床車で運行されており、正直あまり面白みは感じられない。
ここは人が多いので、早々に場所を移すことにした。
Stradom駅付近
更に通りを下り、ヴァヴェル城まで来た。ここのすぐ南の通りにトラムの線路があるので、次は場所を移してここから撮影。
ちょうど交差点に進入してきたところをパシャリ。さっきは近くて気づかなかったが、側面に馬に乗る人のアイコンが描かれている。これは「ライコニク」と呼ばれる、木馬に乗るタタール人の服装を模したクラクフ市民。
1287年、クラクフに攻めてきたタタール人を追い返し、追いはぎした衣服を着て祝勝会を行ったことから、以来年1度行われる祭りになったようだ(参考文献:https://www.urban-transport-magazine.com/en/first-stadler-lajkonik-tram-delivered-to-krakow-tender-for-60-further-trams-under-preparation/)。
ちなみにこの記事には、クラクフに残るコンスタルを順次これに置き換える計画も記されていた。やめてくれ…
そしてちょうど望遠レンズに付け替えていたところ…
コンスタル!
慌ててケツ撮り。何度でも言うが、このカクカクしたフォルムがやはり素晴らしい。ともあれ、この路線(52系統)にコンスタルの運用が入っているのは確実なので、しばらくこの沿線で撮ることにした。
Rondo Grunwaldzkie電停
先ほどの電停から2駅、ヴィスワ川に架かる橋の上で撮影。
ワルシャワでも走っていた、国産メーカーであるPESA社製の車両も。こちらはクラクフ向けに製造された車両で、”Krakowiak“の愛称を持つ。
バルカバンとトラム。
トラム自体は結構な頻度で来るが、コンスタルが中々来ない。まあ、低床車もなかなか良いデザインしているとは思うが、やはりノスタルジックな旧型車の方が個人的にはグッとくる。
そして待つこと10分…
ようやくお目当てのコンスタルがやってきた。3連で走るコンスタルは迫力があってイイネ。ちょうど車とも被らずラッキーだった。
立て続けに反対方面からやってきた。ドアの部分が白色に塗られ、青白のツートンカラーになっているのも、窓が大きく、スケルトンのようになっているのもオシャレだ。
Dąbie電停
また場所を移動してDąbie(ドンビエ)電停へ。何故ここを選んだかは覚えてない。
見たことない不思議な車両が、カメラを構える暇もなく通過していった。回送車だろうか、はたまた旅客用ではそもそもないのだろうか。
Urban Electric TransitやWikiを頼りに調べたところ、どうやらこれもコンスタル社が製造した車両の一種。先ほどからちょくちょく出てくるコンスタル105Naは105Nを改良したものだが、この105Nのさらに前に製造されていたのがNという形式。製造されていた年代は、105Naが1979~1992年ごろで、105Nは1973~1979年、そしてNは戦後の1948~1956年製と、70年前だ。
電停東側に良い感じの上り勾配があるものの、微妙に撮影しづらい。
ここDąbieは一部の列車が折り返すのか、道路脇にループ線が用意されている。そのループ線にたまたま停車中だった車両を撮影。車両前面の電光掲示板には”Tramwaj Rezerwowy”と表示されており、直訳してみたところ「予備のトラム」らしい。ラッシュ時に出て行ったりするのだろうか。
これも今まで見たことない形式の車両だが、これもボンバルディア社製造のトラムらしい。
今度はデュワグ社(現在はシーメンスに吸収済み)製の車両がやってきた。低床車の割合は多いものの、色々な車両の形式が見れるのでまあ面白いかも。
Lipska電停
次の予定が迫っていたので、とりあえずこの日取っていたホステルに荷物を投げ近くの電停で1枚だけ。
良い感じのカーブだったのでコンスタル105Naが来てくれると嬉しかったが、普通に低床車だった。
という訳でこの日の撮影は切り上げ。
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