アンカラエクスプレス乗車録【23-24年末年始トルコ旅#22】

寝台列車。その響きにワクワクするのはきっと自分だけではないはずだ。

寝ている間に朝目的地に着く…その利便性もさることながら、やはり寝台列車の一番の醍醐味は飛行機などでは到底感じることのできないその「旅情」

確かに飛行機は便利で、日本国内ならどれだけ遠くても2~3時間もあれば着いてしまう。しかし、点と点を結ぶ、さながらワープのような移動はどこか味気なく感じてしまう。やはり、時間がかかっても陸路で移動する「線」の移動こそ、「移動している」という事実を感じられるのだ。

そんな想いとは裏腹に、日本で夜行列車はもはや風前の灯火だ。事実、残っているのはサンライズと、臨時で走るWEST EXPRESS銀河ぐらいだろう。

しかし、客車寝台で旅をしたいというその夢は、まだ叶えることができる。近年は飛行機の出す排気ガスが環境に良くない、という論調から、欧州では再び寝台列車が脚光を浴びる時代になったのだ

まあ、今回はそんな論調とは恐らく関係なく残り続けているアンカラエクスプレスの乗車録です。

アンカラ駅

オトガルから地下鉄を乗り継ぎ、地上に出るとアンカラ駅の駅舎が現れた。しかし、これは高速列車YHTが発着する側の駅舎なので、在来線側へ回ることに。

道路を迂回すること10分、在来線のアンカラ駅に到着。在来線ホームに入って後から“YHT”の乗り継ぎ案内の看板を見つけたので、恐らく先ほどの駅舎から入っても大丈夫なはず。

入るときにはセキュリティチェックがあった。

駅構内の発車標。すでに時刻は21:20だが、同じく寝台列車である20時発のイズミル行イズミル・マーヴィ(İzmir Mavi Treni)とコンヤ行YHTが発車していないのが気になる。

駅ナカにあるキオスクで軽食と飲み物を購入し、いざホームへ。

乗車&車内の様子

今更だが、今回乗るアンカラエクスプレス(ANKARA EKSPRESİ)はエスキシェヒル、イズミット等を経由し、アンカラ~イスタンブール間を結ぶ列車で、毎日1往復が運行されている。

「アンカラ・エクスプレス」時刻表

列車は6両編成での運行で、イスタンブール側の5両は普通の座席、アンカラ側の1両のみが寝台車となっている。寝台車は個室が10部屋あり、1部屋の定員は2名。1人で予約した場合は同室になることはない(と思われる)。

乗車の時にはドアの前に立っている乗務員にQRコードを読み取ってもらう。今回はあらかじめチケットをアプリから購入しておいたので、画面を見せるだけでスムーズに乗車できた。

寝台車の個室座席はこのように2人掛けになっており、座席を倒すとベッドが現れる仕組みだ。2人で使用するときは上段も倒し、2段ベッドにするようだ。

座席以外のスペースはこんな感じで、荷物を置く場所も十分。見切れているが入口右にはシンクも付いている。

棚の中には冷蔵庫も備え付けられていた。

中身はこんな感じ。トルコでよく見るカップ入りのミネラルウォータとジュースに、プリッツのようなお菓子が入っていた。上段右の紫色の包装は、手を付けていないのでわからない。

発車時刻までまだまだ余裕があったので先頭まで行って車両を撮影。寝台車からは1編成分丸々歩かされるので時間がかかる。

当然日本では見ない形式の厳つい機関車がゴツくてかっこいい。

発車

定刻22時。アナウンスも何もなしに、列車はゆっくりと動き始めた。終点のイスタンブール・ハルカル駅には6:45着。およそ9時間弱の列車旅だ。

発車から少し経った頃、ドアがコンコンとノックされる。どうやらベッドメイキングに来たようだ。

先ほども述べたが、座席を倒すとこのようにベッドになる。少し寝転がってみたが、中々良さげ。実は日本含めてこれが初めての寝台列車なので、この時気分は最高潮に達していた。

ちなみに、身長174㎝の私が足を伸ばしてギリギリ収まるぐらいだったので、これ以上の身長の方は少し窮屈に感じるかもしれない。

また、ベッドメイクの際にはチップを支払うという情報を見かけたので渡そうとしたが、声をかける間もなくそそくさと出て行ってしまった。申し訳ないな。

列車はアンカラの市街地を抜け、次の停車駅・エスキシェヒルまでひた走る。横になりながら列車の揺れを感じるのが心地よい。

夜間に走行している列車からはロクな写真が撮れないので、窓の外をボーっとしばらく眺め、旅情に浸りつつ0時半頃に寝た。

ここで気になったのが、カーテンの大きさが足りていないのか、閉まり切らず、若干外の光が入る点。これのせいであまり寝られなかったので、アイマスクを持っていくと良いかもしれない。

イスタンブール・ハルカル駅

停車駅ごとに寝たり起きたりを繰り返し、気が付けばイスタンブール市内に入っていた。時刻は7時を回っており、遅延しているのは明らか。まあ、6時台に市内に放り出されたところで何もすることはないし、別に良いのだが。

市内のいくつかの駅に停車しつつ、列車は市内西の外れにある終着駅・ハルカル(Halkalı)駅へ。

列車最後部より

ボスフォラス海峡の海底トンネルを抜け、ヨーロッパ側へ。到着10分前になると、車掌がベッドを戻しに来た。冷蔵庫にあったものをつまみつつ、到着を待つ。

そして定刻からほぼ1時間遅れた7:40、列車は終着ハルカル駅に到着。7時でこんなに暗いのか?と思っていたが、トルコのこの時期は一番日が昇るのが遅い時期らしく、日の出は7時半頃だった。

隣のホームには発車を待つ高速鉄道YHTの車両。どこかで見たことあるな…という既視感はすぐに解消された。これはドイツのICEと一緒じゃないか?

(参考画像)Frankfurt Süd駅にて

どうやらシーメンス社から車両を購入したらしい。今度トルコに来た時にはこちらにも乗ってみたい。

駅の発車標。YHTと在来線が一緒に表示されており、次のアンカラエクスプレスやソフィア行きの夜行列車も表示されていた。寝台で国境を越えてみるのもいいなあ…

という訳でアンカラエクスプレスの乗車録でした。

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