メフテルとは
すっかり他の展示物に見入ってしまったが、今回この博物館に来た真の目的は軍楽隊・メフテルのコンサートだ。
メフテルはオスマン帝国の軍楽隊。遠征の度に都度同行し、演奏によってその士気を高めていたらしい。かの有名な「トルコ行進曲」もこれに着想を得て作曲されたそう。
ただ、現在演奏される演目は近代に入ってから作られたものが多いうえ、1800年代に1度廃止されているため、オスマン全盛期の頃のものとは少し異なるらしい(トルコ民族の偉大さや帝国末期での戦勝を賛美した楽曲など)。
とりあえず、まもなく開演時刻なので中に入った。
ここが演奏されるホール。正面には軍人時代のアタテュルクとトルコ国旗が、天井にはアタテュルクの格言が書かれている。
「歴史を知らない国家は、滅びる運命にある」
ムスタファ・ケマル・アタテュルク
どういう文脈で発言したのかは分からないが、きっと自国の歴史を国民が知っておくことは重要だ…ってことだよね?多分。知らんけど。
しばらくするとホールの照明が消され、ちょっとした紹介映像が流れる。
そして演奏と共に軍楽隊の皆さんが入場。
「メ~~ルハバ~~~」という長~い挨拶から始まるメフテルのコンサート。当然だが、いかにもトルコの民族衣装だなあとしみじみ。
演奏開始
観客席正面にいる指揮者の「ハイディ!ヤッラー!」という掛け声とともに演奏が始まる。
大太鼓とシンバル、そしてズルナと呼ばれるメフテル特有の縦笛で奏でられる独特のメロディーがホール中に響く、大迫力の演奏だ。
そして3,4曲目だっただろうか、どこかで聞いたことのあるメロディーが…
あ、これCiv6で聞いたことある!
Civ6(Sid Meier’s Civilization Ⅵ)とは、プレイヤーが様々な国の指導者を選択し、領土を広げたり文明を発展させていくターン制ストラテジーゲーム(超面白い)。オスマン帝国のスレイマン1世も指導者として遊べるのですが、ゲーム内BGMがこのメフテルの楽曲がアレンジされたものだったということをこの時知ったのです。
聴いた瞬間鳥肌が立ち、ゾワゾワしてきました。これに関しては完全にノーマークだったので、度肝を抜かれた気分。
ちなみにこれは“Yelkenler Biçilecek”という楽曲でした。YouTubeにもあるので、気になる人は是非。
そして最後に“Ceddin Deden(ジェッディン・デデン)”が演奏され、コンサートは終了。いや~正直、最高の40分間だった。
終了後、演者が続々と出ていく中、軍楽隊の一部の人が残っている。どうやら、記念写真を撮らせてくれるらしい。なんてサービス精神旺盛なんだ。
私も恥を忍んでお願いし、一緒に撮ってもらった。
演奏終了後は閉館時間までもう少し時間があったので、ギリギリまで展示物を楽しんだ。
それにしても本当に素晴らしい博物館だった。一般人も満足できるのは勿論のこと、歴史好きなら半日は余裕で潰せるスポットだろう。ゆっくり見るなら3時間はかかると思うが、その時間をかけるだけの価値はあると思う。自分は自信を持って勧められる。
自分も完全には回り切れなかったので、またあのコンサートを聴きに来るついでに、今度はゆっくりと過ごしたい。
さて、時刻は17時。昨日中に入れなかったアヤソフィアでも見に行こう。
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