旧市街に二つの大帝国の遺物を求めて【23-24年末年始トルコ旅#5】

2023年12月31日、大晦日。目覚めは6時過ぎ頃、街中に鳴り響く大音量の音楽から。どうやらこれはアザーンといい、イスラム圏で礼拝の時刻を告げる合図のよう。

イスラム教では、「信仰は睡眠に勝る」という言葉がある。早起きしてモスクに向かい礼拝を行う中、私はもう一眠り惰眠を貪る…敬虔なムスリムには全く頭が上がらない。

そんなこんなで結局活動を開始したのは9時前。フライトで眠れなかった分よく眠れた。

新市街のカフェで一服

昨日SIMカードやホテルを探すのに迷った際、広場から伸びる通りに良い感じのカフェを見つけたので寄ることにした。

異国の風景を眺めつつ、朝からコーヒーを飲んでボーッと過ごす。贅沢な1日の始まりに乾杯!

頼んだのはトルココーヒー。普通のコーヒーと違うのは、粉ごと煮出した後、コーヒーの粉が沈殿するのを待ち、その上澄みだけを飲むという点。ちなみにこの時「あ、トルココーヒーってなんか聞いたことある〜」みたいなノリで何も知らずに飲んだので、粉がめっちゃ口に入って焦った。おそらく一緒に出された水はそういうことなんだろう。

猫の都・イスタンブール

さて、イスタンブールといえば野良猫の天国だ。

こんな風に、さも当たり前かのように堂々と店先に鎮座している。道行くトルコ人は皆「プスプスプス…」と猫の気を惹き、撫でたりして可愛がっていた。

イスラム教の預言者・ムハンマドが猫好きであった、という説が本当かはわからないが、とりあえず猫に寛容な社会が形成されているトルコ。「動物保護法」も制定されており、行政が野良猫や犬をしっかりと管理しているようだ。

犬も多い

さて、動物保護法は当然犬も対象。イスタンブールでは野良猫と同等の数の野良犬が街中を歩いている。

トラムの線路を渡る野良犬、国鉄シルケジ駅前にて。
路上で佇む犬。
同上。

犬猫は可愛いが、気をつけるべきことがある。狂犬病だ。日本では撲滅されているこの病気だが、トルコではそんなことはない。そもそも、狂犬病清浄化地域は日本を初め、イギリス、アイルランド、ニュージーランド等の一部の島国に限られている。もし渡航の際にワクチンを打っていないのであれば、哺乳類には近づかないのが無難。

一応、行政も頑張っているようで、狂犬病ワクチンを打った犬には耳にタグを付けている。

ヴァレンス水道橋

さて、タイトルの話に戻そう。今日はイスタンブールで1日取っているので、ゆっくり街中を散策。とは言っても、イスタンブール市街は1日じゃ回りきれないほど巨大ですが…

昨日の同じメトロM2にタクシムから乗車し、ヴェズネズレル-イスタンブール大学駅(Veznecıler-İstanbul Üniversitesi)で下車。ここから歩いて5分ほどの所に目当てのものがある。

お、見えたぞ。

これがヴァレンス水道橋。ローマ帝国時代の4世紀に建てられたこの水道橋は、ローマ帝国、東ローマ帝国、オスマン帝国と時代が移り変わっていく中、約1500年もの間、帝都で暮らす民に変わらず水を供給していた。

幾度か修復を繰り返し、建国の英雄の名を冠するアタテュルク大通りにその姿を残す偉大なる水道橋。世界史上屈指の大帝国を支えた往時に思いを馳せずにはいられない。

水道橋→スレイマニエモスク

イスタンブール大学

ヴァレンス水道橋は旧市街にあるとはいえ、主要観光地からは少し外れているため、ここからまた中心部の方へ歩いて向かうことに。そこで途中イスタンブール大学があったので少し拝見。

先ほど降りた駅は名前の通りイスタンブール大学の最寄駅。大学はヴァレンス水道橋から旧市街中心部方面へ歩いて行く途中にある。残念ながら門は閉まっていたので中には入れなかった。というか、日本と同じで自由に出入りできるものなんだろうか?

堂々とした門構えにトルコ国旗が旗めく姿はまさしく名門大学。きっと日本でいう東大のような大学なんだろう。

大学前にはトラムが走り、駅も近い。交通の便に関して同志社にルサンチマンを抱いていた元立命生としては羨ましい限りだ。

バザール

イスタンブール大学からスレイマニエモスクへ抜けるルートにちょっとしたバザールがあった。イスタンブールといえばグランドバザールが有名だが、そのバザールとはまた異なる。まあ、入口にはグランドバザールと書いてはあったが。

道の両脇に所狭しと露天が並び、通行人も多く活気ある通り。靴や服などの雑貨が多かった気がする。果たしてお得なんだろうか…?

スレイマニエモスク

そして水道橋からふらふら寄り道しながら歩く事1時間、ようやくお目当てのスレイマニエモスクに到着。

このモスクはイスタンブール旧市街の小高い丘の上にあり、旧市街と金角湾、ボスフォラス海峡を一望できる。手前にはあり得ん密度で建築物が建ち並び、奥には高層ビルがポコポコ建っているなど、そのアンバランスな街並みが見ていて楽しい。流石は人口1500万人を抱える超大都市圏なだけはある。

そしてこれがスレイマニエモスク。名前の通りオスマン帝国最盛期を代表する、時の第10代スルタン、スレイマン1世が宮廷建築家のミマール・スィナンに命じて建てさせたモスクで、世界遺産である。

このミマール・スィナンという人物も大学名になっていたりと、イスタンブールの各地で見かけるのだが、彼はオスマン帝国史上最高の建築家とも言われる人物。

アヤソフィアを参考としたとされるこのモスクは、細部までこだわり尽くされた鮮やかな装飾に、見事なアーチや大小約50を数えるドームを持つ。やはり史上最高とも言われる建築家が設計しているというのも説得力のある圧巻の建築だ。

モスクでの注意事項。

さて、中に入る前に注意事項の確認。

1.女性はロングスカートとヒジャブ(頭を覆い隠す布)を着用し、男性も含めて肌を露出する様な服装は慎むこと。

2.靴を脱いで上がること。

3.大声で喋らないこと。

4.決められたエリア内でのみ見学すること。

5.礼拝中にカメラやスマホを使った撮影をしないこと。

6.関係者に従うこと。

7.その他分からないことがあったらスタッフに聞いてね。

と、長々あるが、まあ1番以外はそりゃ当たり前だろうということしか書いてない。

中に入ってみると、360°全方位に取り付けられた採光用のガラス窓から差し込む光と、円形のシャンデリアのようなランプで照らし出された神秘的な空間がお出迎え。美しいイスラム様式の紋様が描かれたステンドグラスやアラビア文字で刻まれたカリグラフィーの円盤が嵌め込まれていたりと、その構造に圧倒される。

床には絨毯が敷いてあり、皆座っているので自分も座ってボーッと辺りを見渡してみる。

モスクのドームは宇宙をイメージしているという。確かに、独特かつ幻想的な雰囲気が溢れるこの空間に佇んでいると、その雰囲気に飲み込まれていくような…

しばらくボケーっとしていると、スタッフから声を掛けられた。あれ?なんかマズいことした?…と思っていたら、アナタ日本人だよね?これあげる!と言われ渡されたのがこちら。

…勧誘?でもなんかタダでくれるらしいので、有り難くいただくことにした。教養のためにもどこか空いた時間で読んでおこうかな。

さて、もうそろそろ昼時。昼飯を探しに旧市街中心部の方へ向かうことにします。

ピデ

昨日のぬれバーガーに引き続き、トルコに来たら食べたかったものがもう一つある。それが「ピデ」。名前の通りいわゆるピザで、それがトルコナイズドされたもの。

という訳で目を付けていた旧市街の“Hocapaşa Pidecisi”という店へ。1階の入り口で注文し、テラス席か2階席かに上がるシステムになっている。

とりあえずメニュー表に乗っている写真から一番野菜の入ってなさそうなピデを注文(名前は忘れた)、ファンタもつけて、ピデ:190TL、ファンタ:30TLの合計220TL(≒1010円)だった。

よく見る円形のピザとは異なり、舟型なのがトルコ流。味はというと、まあ普通にピザなのだが、日本と使っている肉が違うからなのか、味わいが若干異なる。どちらにせよ美味しかった。

腹ごしらえもしたところで、午後からは行きたかった軍事博物館へ向かいます。

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