大陸上陸|威海→青島【ユーラシア大陸陸路横断記#6】

2025年11月11日 天気:晴 気温:18℃/10℃

威海入港

中途覚醒を何度も繰り返して7時に起床…と思ったが、時差で1時間戻るのでこの時6時。少し得した気分だ。

案の定客室では電波が入らないので、エントランスホールで中国側の電波を掴む。心配していたeSIMの設定も上手く行っているようで一安心だ。

船内は中国語と韓国語の放送のみで、英語は流れない。降りるタイミングが全くわからないので、そのままホールで乗客の様子を見つつ降りることにした。

やがて高層ビルが見えてくると、8:55に入港。

ここが威海(Weihaiウェイハイ)。威海といえば日本史で習う日清戦争・威海衛の戦いで聞いたことがある。北洋艦隊の重要拠点だったここは、今も国際海運の玄関口としての役割を担っているようだ。

9時ちょっと過ぎに下船し、行きと同じようにイミグレまではバスで移動する。ぎゅうぎゅう詰めで乗るのを諦めていたが、前の扉に立っていたおっちゃんに「ここ空いてるぞ!」と手招きされ、無事乗ることができた。3分ほど乗ると旅客ターミナルに到着、いよいよ中国へ入国だ。

入国審査

さて、問題の入国審査。中国人達はIDカードをササっとかざしてゲートをあっさり通過していくが、外国人は入国カードを書かなければならない(今は電子申請に変更された)。

訪問予定都市や今日の宿など色々書く欄があるが、その中でも「過去2年間で訪問した国を全て書け」という欄が行った国の数に対して小さく、絶妙に苦労した。

もう1人自分の他に韓国人のネキがおり、2人で中国公安から指導を受けながら記入し、入国審査のブースへ。

上海や北京はさておき、変なところから入出国すると審査が厳しいという情報を見たことがあるので、別室で小一時間は問い詰められる覚悟だったが…審査官はパスポートの各ページを舐めるように確認するだけで、特に質問もなくスタンプを押してくれた。

威海【入】のスタンプ。何故か後ろから消費されてしまうパスポートのページ…

その後は荷物検査を受け外に出る。これで晴れて大陸への一歩を踏み出せる。

威海港から鉄道駅へ

威海港の旅客ターミナルを出る。この日は青島に向かいたいのでまずは鉄道駅へ。高徳地図(AMap)を開いて検索すると、ターミナル前の道路から出る市バスで駅近くの大通りまで行けるらしい。

早速社会主義革新価値観が書いてあり感動。

バスにはアリペイから都市別の交通カードをダウンロードし、乗車時にQRコードをかざすだけで簡単に乗車できる。これは素直に便利過ぎる。

料金は1乗車1元(≒22円)とこれも破格だ。

バスに揺られること20分ほどで威海駅近くの大通りに着いたので下車。バス停の名前は韩乐坊(新字体:韓楽坊)。名前の通り韓国風の商業エリアが近くにあるようだ。流石は国際港湾都市。

なお、威海駅まではここから10分弱歩く必要がある。

「“精致城市・幸福威海”の建設において新たな局面を力強く切り開き、新時代の現代化された強い省づくりの先頭に立とう」と書かれた横断幕。

さっきの革新価値観もそうだが、いかにもな政治的スローガンが堂々と掲げられているのを見ると、本当に中国に来たことを実感する。

しばらく歩くと威海汽車站に到着。”WEIHAI BUS STATION”と英語でも書いてある通り、ここはバスターミナル。中国語で列車は火車で、汽車はバスの意味。

がらんどうとしたターミナル内をウロウロしていると、「どうしたんだ?」と声をかけられる。

「鉄道に乗りたいんだ」と翻訳して返すと、「ここはバスターミナルだよ。鉄道駅はあっちだ」と、駅が見えるところまで案内してくれた。

こっちが鉄道の威海駅。堂々としたゴツい造りの駅舎にデカデカと駅名が表記されているところが、いかにも大陸の鉄道駅であることを思わせてくれる。

チケット売場は一階。ここから面倒な野暮用を済まさなければならない。

高鉄アプリの本人認証

駅に入るとまたチケット売り場を教えてくれる一般威海市民に話しかけられ、案内される。エスカレーターを降りると、まるで空港かのようなコンコースが広がっており、その脇にチケット売場があった。ここではアプリの本人認証をしなければならない。

実は、事前に中国鉄路12306のアプリを入れて登録をしてみたのだが…最後のパスポート認証がどうしても上手くいかない。調べてみると、外国人は駅のチケット売場で登録を代行してくれるとの情報があったので、今回訪れたという訳で。

それで登録をお願いする訳だが、最初アプリの画面を見せると「何をして欲しいん?」みたいな感じで突っぱねられてしまう。いや、ここでできるはずなんだけどな…と再度別の人にお願いしてみると、パスポートとスマホを困惑した様子で受け取られ、4〜5分ほど待たされる。

しばらく色々な職員にスマホがたらい回しにされた後、「ほらよ」と言わんばかりに雑に返される。見ると、実名認証の欄に緑のチェックマークがついており、列車が予約できる状態になっていた。

のも束の間、今度はメールで本人認証がする必要があるらしいのだが、これが全く届かない。中国アプリにGメールアドレスを設定したのは間違いだったか…と思っていたが、友人から「迷惑メールフォルダにあるかもよ?」と言われ確認してみると見事ビンゴ。長かったがようやく本当に列車に乗ることができる。

中国高鉄:威海→青島

威海駅での一幕

登録に手こずりすぎて時刻は既に12時半。威海から青島まで検索をかけてみると、次の列車は13:44と少し間が空く。とはいえ、中国の高速鉄道は改札で空港並みの手荷物検査を受ける必要があるため、早めに行かなければいけない。

ご飯をゆっくり食べる時間はないので、コンビニに立ち寄って何か買うことに。すると店員の人がめちゃくちゃニコニコな笑顔で話しかけてきてくれる…のだが、あいにく中国語はさっぱりだ。一応覚えてきた「听不懂…我是日本人、大阪ダーバン来的」というと、「オオサカ?」と日本語読みで返って来てきてビックリ。

「Yes!オオサカ!」と相槌を打っていると、「私、実は日本語話せるんですよ」と今度はいきなり流暢な日本語を喋りだして更に衝撃。威海はそこそこの規模の街ではあるが、それでも中国国内ではあありふれた規模感の地方都市。なぜこんなところに日本語話者がいるのだろうか…(勉強したらしい)

「青島、上海、成都、蘭州、ウルムチに行って、そこからカザフスタンに行くよ」と言うと大層驚かれ、「中国を横断するの!?めっちゃいい旅だね!ぜひ楽しんできてね!」と言ってくれた。

今朝の案内してくれた人と言い、あったけえじゃねえか、中国…

威海→菜西

中国では発車時刻の30分前から改札が始まり、5分前に閉じる。そして現地人はQRコードやIDカードを使って自動改札を抜けていくが、外国人は有人改札でないと通れない。パスポートと乗車券が紐づいているからだ。

なお、手荷物検査と乗車口で2回改札がある。手荷物検査は30分前、乗車口は15分前から概ね改札が始まる。

13:30に改札開始。今回乗る列車はG6996・临沂北リンイーベイ行き。临沂は山東省東部に位置する市なので、この列車は青島を経由しない。そのため、途中の菜西ライシーで乗り換える必要があるのだ。

停まっていた車両は日本の新幹線のような見た目をしており、内装も2×3のシート配置だ。

車内の様子。

13:44、列車は定刻通り威海を発車。菜西は2駅先なのですぐ乗り換える必要がある。

発車早々車掌が回って来て、「傘(折り畳み)は危ないから上に載せないでね」とバックパックに刺していた傘を手渡された。安全意識が高いようで何より。

続いて列車長が回って来て、今度はなんだ…?と思っていたら、翻訳アプリ越しに「あなたの荷物は大きいので、下ろす時十分注意してください。また、菜西駅は列車とホームの間が広く開いているので、足元には気を付けてください。そして車内は禁煙なのでご協力ください」と丁寧に伝えられた。

やっと落ち着いたので、初めての中国の高速鉄道をゆったりと堪能。

車窓に流れる威海の街並み。

それにしても乗り心地が良い。時速302㎞で走っているとは思えないほどの揺れの少なさに驚く。

威海市街地を抜け、長閑な農村地帯を走る。

そして14:59、列車は時間通り菜西駅に到着した。

「初心を忘れず、使命を胸に刻む。交通強国の実現に向け、鉄道が先頭に立つ」
思想は関係なく素晴らしいスローガンだと思う。

ホームはかなり広々としている。中国の高速鉄道では乗客のホームへの立ち入りは列車乗降時以外禁止されているので、よりだだっ広さを感じられる。

とはいえ、菜西はただの乗換駅。外に出ても何もなさそうな上に再度手荷物検査を受ける必要があるので、大人しく駅舎内で待つことにした。

菜西→城阳(青島)

16:03、続いて上海行のD2930列車で青島市の城阳駅へ向かう。本当は青島北や青島駅といった市街中心部に近い駅を経由する列車に乗りたかったが、良い時間の列車が無いので仕方なく。

夕焼けに向かって走る。

なお、自分の席に誰か座っていたが、乗車券を見せるとすぐにどいてくれた。乗車区間が短いのでなんだか忍びない。

30分ほどで青島郊外の城阳に到着。ここから最寄りの地下鉄駅までバスで向かう。

城阳駅。
駅前の風景。まさしく郊外といった風景だ。

青島市街へ

ここから613番のバスに乗り、青島メトロ1号線の凤岗路駅へ。

で、このバスが運転の荒い事この上ない。急ブレーキに急発進、バス停では完全に停車しきってないままドア扱いするなど、さながらアトラクションにでも乗っている気分だ。

昔京都に住んでいた頃、悪名高い京都市バスによく乗っていたが、それでもここまでではなかった。

凤岗路駅から続いて地下鉄へ。

中国は地下鉄の改札でも荷物検査をしており、水筒をチェックされ、「中身は何?飲んでみて」と言われたりもした。

まあ、利用者目線からすれば安全であることは間違いないが、一々乗る度に受けるのも面倒な話だ。

青島北駅で3号線に乗り継ぐ。

結局城阳駅から宿の最寄の宁夏路駅までは1時間半ほどかかった。中国の鉄道網は素晴らしいが、高鉄駅は郊外に作られることが多いらしく、都市間の時間自体が短縮されてもなんとも不便なような…

そんな訳で17時過ぎにチェックイン。本当は午前中に着いて午後から観光する気だったが、致し方なし。

せっかくなので延泊することにしたが、宿のチェックインの時に登録したWeChatからすぐ手続きを済ませてくれた。

部屋はこんな感じ。ヴィトン柄のテーブルがいかにも怪しい笑

しかし、これで1泊1,500円なので凄いもんだ。

夕食

夕食は移動で疲れたので、適当に宿の真下にある雑居ビルで食べることに。

青島は元ドイツ租借地という訳でビールが有名。植民地経営の一環として始まったようだが、遠く極東の地でビール造りを始める彼らのビールにかける想いはやはり本物だと思う。

なのでやはりここはやっぱり青島ビールを一杯と、付け合わせにハツを二串。

肝心の味は…美味い!今まで飲んだどんなビールよりも口当たりがすっきりしていて非常に飲みやすい。

続いて出てきたハツもピリ辛風味で中々ビールに合う味だった。

続いて頼んだのが水餃子なのだが、思っていた2倍の量が出てきて困惑。白米が2元(≒43円)ということで頼もうとしたが、本当に頼まなくてよかった。

ちなみに中国だと餃子は主食扱い。サイドメニュー欄を探しても全然見つからなかったのは良い思い出だ。

このように、テーブル上のQRコードからアリペイを通じてメニューを見て注文できる。言葉の通じない異国で写真付きのメニュー表を見ながら注文できるのはありがたい。

さて、最後に決済なのだが…アリペイが何故かうまく動かない。Wechatも試すが、何故か今更SMS認証を求められて全く決済できる気配がない(eSIMなので、今日本の電話番号で受信はできない)。

店主は上手く決済できない自分を見てニコニコ笑っていたが、こっちは無銭飲食になる瀬戸際なので必死。さてはeSIMが悪さしているのでは?と試しに店のWi-Fiに接続してみたら、あっさり決済出来た。店主も思わずサムズアップ。本当に焦ったが…好吃!谢谢!

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