7時間遅れたスウェーデン国鉄(SJ)ユーロナイト乗車録(ハンブルク→ストックホルム)※トラブルもあり

今回はフランクフルト空港に降り立った後、スウェーデンにICEと寝台列車を乗り継いで行ってきたので、その乗車録。

なお、この乗車前に航空機遅延、ロスバゲ、ドイツ鉄道の遅延をフルコンボを食らっているのですが、更にトラブルを食らったのでその様子も…

国際列車について

ドイツからスウェーデンに直通する列車はなんと日に2本ある。いずれもベルリン始発で、17:31発のユーロナイトが寝台車付き、そのあと20:10に出る列車がクシェット&座席車での運行だ。なお、土曜日は運行されない。

で、乗ったのは9月13日(土)。これを知らなかった私はベルリン発でヒットしないのでハンブルク発に検索条件を変えて調べたところ、この2025年の9月13日だけは、何故かハンブルク中央駅始発で1本運行されるとのことだった。ラッキー!(もしかしたら多客期などは土曜日も臨時で運転されるのかもしれない)

始発駅のハンブルク中央駅。

ダイヤ

(恐らく臨時便なので)参考になるかは不明ですが、一応当日のダイヤは以下のとおり(スウェーデン国内はSJの公式サイトで到着時刻のみ記載されていた)。

発着駅到着時刻発車時刻
Hamburg Hbf17:00
Padborg19:3020:08
Cph Lufthavn23:3623:36
Malmö C23:58
Lund C1:14
Hässelholm2:06
Alvesta3:00
Nässjö C3:50
Linköping C4:58
Norrköping C5:30
Stockholm C7:30

17:15発 Stockholm Central行きEN13472便。元々17時ちょうどに出る便だったが、1週間ほど前に変更の連絡がきた。

列車

ユーロナイトは国境を跨ぐ寝台列車に付けられる列車名で、この列車はスウェーデン国鉄(SJ)が運行する。ドイツ、デンマーク、スウェーデンの3カ国に跨り、ドイツ有数の港湾都市ハンブルクから王都ストックホルムへと14時間15分かけて走る、まさにロマン溢れる寝台列車という訳だ。

牽引する機関車。
ドアに張り付けられた行先表示。スウェーデン国鉄(SJ)のロゴも付いている。

今回は奮発して個室寝台を予約。ユーレイルパスの割引価格で875SEK(スウェーデンクローナ)≒14,000円で乗ることができた。

ベッドメイクが既にされており、居住性も良好。同室の人も居らず、これから14時間この空間で過ごせると思うとワクワクしてくる。

また、ごみ箱だと思って開けた蓋がまさかの独立洗面台で衝撃を受ける。住めるな。

ハンブルク→デンマーク国境Padborgへ

ドイツ国鉄とは違いスウェーデン国鉄運行なので、定刻通りハンブルク中央駅を発車。市街地をノロノロ走ったかと思えば、街を出ると冷涼な北ドイツらしいトウモロコシ畑と牧草地を横目に140km/hで飛ばすように。

ハンブルクを出て1時間ほど、レンツブルクの高架橋に差し掛かります。

Rendsburger Hochbrücke(レンツブルク高架橋)とレンツブルクの街並み。

写真右側に見えるこの橋はキール運河に架かる鉄橋で、ドイツ国内でも有名な産業遺産だそう。列車はこの橋を渡った後にループ線でレンツブルクの街を囲うようにぐるっと一周し、高架下を抜けて再び北へ進んでいく。17時発なのでこういった車窓が楽しめるのも素晴らしいところ。

次は19:30着・デンマークのPadborgまで停まらない。

Padborg駅でのトラブル

日も暮れ始めた19:13、国境の街Padborgには何故か17分早着。ここではドイツ国鉄→デンマーク国鉄へと機関車の付け替えを行うために40分弱停車。

後はデンマークの警察が乗り込んで来て、簡単な身分確認をされた(パスポートチェックと行先)。

長時間停車でホームに出た乗客は思い思いの時間を過ごしていた。広大なホームと側線からいかにも国境における鉄道輸送の要衝だと伺える。

機関車の付け替えも見学。

残りのデンマーク国内の停車駅はコペンハーゲン空港駅のみで、あとはいよいよスウェーデンへ…と思っていたが、発車時刻の20:08を過ぎても一向に発車する気配がない。仕方がないのでもう寝ることに。

定刻から1時間経った21:07、突然車内の照明が消え、1分ほど経った後に復旧。思えばこれが原因だったのかもしれない。

21:50頃、車掌が回ってきて起こされ、「残念ながら、トラブルが発生したため寝台車は本日使用停止となりました。寝台車の皆さんは一旦座席車にお移りください」と言われる。詳しい事情については自分の英語力がカス過ぎて聞き取れなかったが…

この寝台列車、今回の旅行でかなり楽しみにしていたので、あまりにも悲しかった。寝ぼけていて何が何だかだったが、嘆いてもどうしようもないので眠い目を擦りながら一旦座席車に移る。

座席車。

最高ランクから一気に最低ランクへ。一応、3席独占して横になれるのは救いだった。

結局22:30、2時間20分遅れてPadborgを発車。行きの機内で大して寝られなかったうえ、初日から色々あり過ぎて疲れ切っていたので座席でも構わず爆睡できた。

運転打ち切り?

次に目が覚めたのは日付を跨いだ0時過ぎ、列車は本来停車駅ではないKoldingという駅に停車していた。この時再び車掌が回ってきて起こされ、「あなたの新しい席を用意したよ!21号車のクシェットの中段を使ってね」と言われ、また移動。それにしても一回の旅行で個室寝台、座席、クシェットと全てのクラスを体験することになるとは思わなかったなあ。

で、4時間ほど寝て目が覚めると、まだKoldingに停車中だった。え?

これはひとまず乗客には寝る場所だけ用意して、翌朝運転打ち切りで解放されるパターンかなあ…日本でも夜間に車両だけ開放して列車ホテルにする時もあるよなあと思い、ここからストックホルムまでどうやっていくか調べていたところ

動き出した。

Padborgを2時間20分遅れ、本来停まらないKoldingに4時間停車したとなれば、もう間違いなく6時間以上は遅れているが、まだ走るというのか。時刻はもう明朝4時、本来ならストックホルムの2つ手前であるリンシェーピング中央駅(Linköping C)まで来ている時間だが、まだスウェーデン国内にすら入っていない

スウェーデンへ

それでも列車は走り続け、スウェーデン国内最初の停車駅であるマルメ中央駅(Malmö C)に7時間30分遅れて到着した。お前、まだやれるのか…?

マルメ中央駅。発車標には本来の到着時刻である23:58が表示されているが、時刻はとっくに7:30だ。

正直、ストックホルムに行くならここで列車を乗り捨て、隣に停まっているSJの特急列車に乗り換えた方が早い。マルメからストックホルムへは寝台列車は所定で行くと7時間だが、特急なら4時間半で着く。ただ、ユーレイルパスを1日消費してしまうのでもったいない。

結局、この列車と運命を共にすることにした。列車は進行方向を変え、8:12にマルメ中央駅を発車。

SJの公式サイトにはこれから先の停車駅と到着予定時刻の情報が更新されていた。ストックホルム中央駅には14:02着と表示されており、呆れを通り越して笑ってしまう。まあ、こういう旅も面白いか。

座席車最後部から。

もはやただの昼行特急と化してしまったので、クシェットに居続ける理由もなく、座席車へ移動。USBポートがついているので充電できてありがたい。

シラカバとアカマツの森、湖沼、牧草地、そしてたまに現れるファールンレッドの家屋がひたすら繰り返される何とも北欧らしい車窓が流れる中、列車はストックホルムへとひた走る。

「ファールンレッド」で染められた倉庫群。スウェーデン1の銅山・ファールン銅山から出る汚泥で作られる染料で、赤く見えることから「ファールンレッド」と呼ばれ、スウェーデンの車窓によく現れる。

あとは空腹に耐えかねて先頭にあるビストロカーで軽食を摂った。この途中で追い出された寝台車も通ったが、結局何が原因だったんだろうとモヤモヤ。やっぱり電気系統だったのだろうか。

その後は最後部の座席車に一々戻る理由もなく面倒なので、ビストロカーに居座り続けることに。

これはいつの間にか寝台車の前に繋がれていた座席車。

最後の停車駅、ノルシェーピング中央駅(Norrköping C)を出てあとはストックホルム中央駅まで1時間40分。とは言っても、まだまだタイガの森と農地が目立ち、首都に近づいているような実感は湧かない。

6時間半遅れてストックホルムへ

そして徐々に建物が目立ち始め、しばらくすると…

堂々と聳えるストックホルム市役所。

ストックホルムだ!

スウェーデン国鉄の機関車。シックでカッコいい。

ハンブルクから実に21時間弱、最終的に6時間36分遅れて14:06に列車はスウェーデンの首都・ストックホルムに到着した。こんなに長い時間同じ列車に乗ったのは生まれて初めてだ(これ以外だとグダニスク→クラクフの寝台9時間が最高のはず)。

ストックホルム中央駅。

飛行機は遅れ、ドイツ鉄道の遅延であわや乗り遅れるところをやっとの思いで乗り込んだ寝台列車。しかしそれすらも寝台車を途中で追い出され、挙句6時間半の遅延で到着したストックホルムまでのとんだ寝台列車旅でした。

ちなみに返金申請中です。→よく確認してなかったのですが、旅行終了後2~3日以内に返金されていたようでした。対応が早くて好感。もしかして慣れているのでしょうか。

いつかリベンジします。

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