中国鉄路T列車(特快)でシルクロードをひたすら西へ|蘭州→烏魯木斉(ウルムチ)【ユーラシア大陸陸路横断記#16】

2025年11月21日(日) 天気:晴 気温:6℃/-1℃

昼前に目覚めると、若干の風邪っぽさはあるものの、熱は大分引き、咳もかなり落ち着いた。風邪は治りかけが肝心なので無理はせず、一旦宿の真隣にあった牛肉麺屋で朝食兼昼食を頬張る。栄養も大事なのでね!

調子に乗って牛肉トッピングもしてしまう。〆て17元。

それにしても、中国は店内で出されるお茶が本当に美味しい。成都の陳麻婆豆腐では、優しくすっきりとした菊花茶が出てきたりと、しっかりメイン料理に合った中国茶を出してくれるのが素晴らしいところだ。この店もそうだが、牛肉麺屋で出てくる多くのお茶はほんのり甘くて暖かい红枣ホンツォー茶(ナツメ)だ。

蘭州駅へ

本当はこの街をもう少しゆっくり見たかったが、風邪をぶり返しても良くないので、早い時間の寝台列車を予約。買い物がてら駅前をウロウロしてから早々と駅へ。

高層マンションが立ち並ぶ駅前だが、一本路地に入ると古めかしい家々も建ち並んでいる。

次の目的地は新疆ウイグル自治区・烏魯木斉ウルムチ。そろそろ、初の陸路国境越えを控えた移動になる。

ウイグル自治区に行くと言うと、親や友人から「本当に行くのか?」という反応をされる。まあ、一般的なイメージはあまり良くないところだろう。

乗車する列車は蘭州始発の14:10発、T257次・烏魯木斉行き。寝台列車なのにやけに早い発車時刻だが、蘭州から烏魯木斉は1,900km、所要時間は17時間弱かかるからだ。

相変わらずだだっ広い上に天井がやけに高い待合室で列車の改札を待つ。上海や成都ではまだまだ薄着の人も目立っていたが、ここ蘭州では辺りを見回すと、もうすっかり冬の装いをした人ばかりになっていた。勿論、自分含めて。

こんな立派な駅だが、なんとトイレには紙が備え付けられておらず衝撃を受ける。一応、こんなこともあろうかと友人宅からトイレットペーパーを1ロール拝借してきた甲斐があったものだ(事後承諾済み)。

T257列車・烏魯木斉行き

そうこうしていると、発車20分前になり改札が始まった。

ここで驚いたのが、なんと20分後に同じく烏魯木斉行きの寝台列車が出るということ。

それどころか、14時~15時台にかけては、烏魯木斉行きの列車が蘭州駅を10分~20分間隔で頻発しているのだ(2026年10月現在、この時間だけで確認できる限りでも、14:08, 25, 32, 46, 15:04, 12, 19, 59と驚異の4本/hを誇る)。

これが蘭州~烏魯木斉を結ぶT列車の側面表示。

中国の鉄道では種別ごとに数字の前に付くアルファベットが分かれており、今回のTは特快(Tè kuài)の頭文字。最高速度が140km/h程度で、沿線の大きめの主要都市に停車する列車種別だ。

これからこの列車に17時間弱揺られ、次なる国・カザフスタンと国境を接する新疆ウイグル自治区へ向かうことを想像すると、果てしなき旅情に脳を焼かれずにはいられない。

やっぱり、旅も移動も大好きなんだよなあ、自分という人間はきっと。

さっそく乗り込んでいく。

今回は乗車時間と体調のことも考え軟臥車を選択。運賃は軟臥上段で556元(≒12,500円)だ。

やはり、硬臥車に乗った後に乗る軟臥車はかなり快適だ。

ところで、トイレにはこんな表記が。「停車中には使用しないでください」ということは、つまり…とは思ったが、こんな鉄道に力を入れている中国が今時垂れ流しなんてことがあり得るのか?

蘭州から烏魯木斉へ

列車は蘭州駅を発車すると、続けて蘭州西駅に停車。

その後は市街を離れ、河西回廊を西に向かってひた走る。河西回廊とは、甘粛省から張掖ちょうえき、酒泉しゅせん、嘉峪関かよくかんなどのオアシス都市を経て新疆へ至る、シルクロードの大動脈だ。

蘭州西駅を出てから1時間もすると、すっかり列車は山の中。山腹を何段にも削った等高線上の段々畑が果てしなく続いている。

次の停車駅である青海省の西宁シーニンに入ると、打って変わって山岳地帯に突然の摩天楼が現れるように。ここも人口200万人を抱える街だ。

それにしても、中国の都市開発は、本当に高密度の高層ビルを建てがち。土地なんていくらでもあるんだから…とは思うが、コンパクトシティを構想しているならばむしろ賢い都市開発なのかも。

西宁を出てしばらく横になっていたが、ふと南側の車窓に目をやると、またもや景色が一変。

荒涼とした大地の向こうには、雪を冠した祁連きれん山脈がどこまでも連なっており、そんな風景が車窓を右から左へと流れ続けている。列車は北側に広がるうら寂しい高原との合間を縫うように、ひたすら西へと走り続けていた。

これが昔の商人や旅人が往来した、古代から連綿と続くシルクロードの風景なのだ。

18:12に張掖市民楽県の民楽駅に停車。畑のど真ん中にあるので、本当に利用客がいるのか不安になる立地だ。

車内販売でコーラとプリングルスのようなお菓子を購入。

高徳地図を開くと、烏魯木斉はまだ遥か彼方。それでも、日本から3,000km離れた場所まで飛行機を使うことなく来たことに、ふとマップをピンチインした際、右端に出てくる日本列島を見て改めて実感が湧いて来た。

暗くなってくるとやることもないので、さっさと眠りにつく。

同室のガキが一生ショート動画をスピーカーで垂れ流す上に、いびきも爆音で流石に堪えた。いいご身分だことで…

こんな年端も行かぬガキをドーパミン漬けにして脳の正常な発達を阻害する俗物以外の何物でもない。マジでショート動画を発明した人間は深く反省してくれよな。

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