2025年11月19日(水) 天気:晴 気温:15℃/4℃
なんだかんだ4日間居た成都も今日が最終日。この日は寝台列車に乗って甘粛省・蘭州に向かうが、発車時刻は20:42とだいぶ遅いので、最後にパンダでも見に行くことにした。
前の記事でも軽く触れたが、実は野生パンダの生息地である四川省。その省都である成都にはジャイアントパンダの研究基地があるという訳だ。
ちなみに2026年9月現在、日本でパンダを見られる施設は存在しない。2025年6月に和歌山・アドベンチャーワールド、2026年1月には上野動物園からそれぞれ本国へ送還されたからだ。
市街地からは地下鉄とバスを乗り継いで1時間ほどかかる。とりあえず朝食に担々麺を食べ、地鉄3号線春熙路駅から9駅、軍区総病院駅へ。


成都ジャイアントパンダ繫殖研究基地
駅を出ると鬱陶しいタクシーの客引きがおり、これを無視して地面に表示されているバス乗り場に向かうが…あれ?どこにあるんだ?

ま、歩いても行けるっしょ!と基地の方に向かって歩き始めるが、これが失敗。地味に遠い上に上り坂で、20~30分ほどかかってしまった。

到着したのは西入口。ゲートからパンダ全開だ。

熊猫は中国語でパンダ。つまり大熊猫はジャイアントパンダ。非常にわかりやすい。

ここであらかじめTrip.comで購入しておいたチケットで中に入ると…

いや、広っっっっっ。
眼前に広がるのはあまりにも広大な研究基地の敷地。最早歩き切れるのかと不安になる広さだ。

パンダ基地は大きく4つのエリアに分かれているようで、西口から入ると始めは熊猫渓谷区というエリアになる模様。

そしてエリアを繋ぐペデストリアンデッキを歩き始めるのだが、この広大な敷地に反してパンダがあまりいない。どこに行ったんだ?と思っていると、2頭のパンダが突っ伏して寝ていた。


というか、どいつもこいつも寝てるか笹を食べているかの2択。
実はパンダは元々肉食獣だったものの、氷河期の食糧不足から常に生えている笹を食料として選択。しかし、元が肉食獣だったので消化器官が笹に適していない上、そもそも笹に栄養が無さすぎるが故に、常に笹を食べ続けるか、寝て気絶しているかの2択になってしまったという哀れな生き物なのだ。

そんな訳でパンダは1日の14時間を笹を食べるのに費やし、それ以外の時間は寝て過ごすことで栄養不足を補っている。それでいいのか、パンダ…
アドベンチャーワールドとの関係性
しばらく歩いていると、続いて現れたのが和歌山のアドベンチャーワールドとの共同研究30周年を記念したモニュメントと資料館。

2023年2月、成都ジャイアントパンダ繁殖研究基地と日本和歌山県白浜町のアドベンチャーワールドとの約30年にわたる共同繁殖研究を記念するため、アドベンチャーワールドは成都パンダ基地にパンダモニュメントを贈呈しました。このモニュメントは「ジャイアントパンダの未来」と名付けられ、日本で暮らしたジャイアントパンダの「永明(えいめい)」と「梅梅(めいめい)」及びその子どもたちをモチーフにしています(「永明」は日本で16頭の子どもをもうけました)。パンダモニュメントを通じて、すべての生命により明るい未来をもたらすことを願っています。
成都ジャイアントパンダ繁殖研究基地「パンダモニュメントについて」より

中にはパンダの生態や生息地などを紹介するボードが。高地で暮らしているのは知っていたが、1500m~3500mとかなりの標高で暮らしているらしく驚き。しかも20℃以下が最適な気温らしい。
夏の成都では果たして生きて行けるのだろうか。

他にもアドベンチャーワールドで暮らしたパンダファミリーの家系図が日本語で紹介されていたり、日本でのインタビュー映像が流れていたが、映像中の「パンダが日中友好の架け橋の一助となれば…」というコメントにグッときた。
当時は高市首相の台湾有事を巡る国会答弁に対し、中国総領事である薛剣氏が「勝手に突っ込んできたその汚い首は一瞬の躊躇もなく斬ってやるしかない」とTwitterに投稿し、中国政府も日本への渡航を控えるよう声明を出すなど、日中関係が冷えっ冷えになっていた時期(常に冷えているのはそれもそう)。
こんな時代に旅をしているからこそ思うものがある。

ところで、このパンダ基地にはどんなパンダがいるのか展示エリアのボードで紹介されているのだが、そこでアドベンチャーワールド生まれのパンダを発見。

彩浜に良浜と、25年6月にアドベンチャーワールドから引き揚げたパンダたちも既に基地入りしているようだった。

このエリアにもジャイアントパンダはいたが、アドベンチャーワールドから来たのかは不明。素人目には全部同じに見えるが…
小熊猫?
さて、中国語でパンダは熊猫。ジャイアントパンダは大熊猫…というのは冒頭で触れた通りだが、小熊猫というのも存在する。

そう、小熊猫はレッサーパンダのこと。「パンダ」と聞くと無条件で「ジャイアントパンダ」の方を想像してしまうが、「パンダ」は「このジャイアントパンダ」と「レッサーパンダ」を包括する上位分類なのだ。

ジャイアントパンダは四川省を中心として甘粛省、陝西省の一部にしか生息しないが、レッサーパンダはインド北部やネパールなどでも見られるようだ。

ジャイアントパンダとは違い、レッサーパンダは日本の動物園でも普通に見られる割と馴染み深い動物。
インターネットの民からも、彼らが威嚇している様子が好評を博している気がする。

パンダどころか、そもそもこの手の動物園に来るのが久々過ぎるので新鮮な気分だった。

その後もクネクネしているパンダをしばらく観測し、正門から出た。
結局4時間ぐらいはいただろうか。あまりに広大なので徒歩での移動ではなく園内を走るミニバスを利用したほうが良いかもしれない。



という訳で以上、成都ジャイアントパンダ繁殖研究基地でした。
上野動物園にパンダがいた頃は、その展示スペースに長蛇の列を作った挙句、大してじっくり見ることもできないという有様だったというのをSNSで見かけた気がするが、ここ成都では広大な敷地で心行くまで見学できるので、興味のある方は是非。

正面出入口からは、春熙路行きの直通バスが10元(≒220円)で出ているのでこれに乗車して帰った。


春熙路に戻ってくると既に18時過ぎ。宿に戻って荷物を受け取り、若干市街から離れている成都西駅へ向かうことを考えると、割と時間に余裕はない。

駅に向かう前に成都のシンボルの一つでもある安順廊橋(安顺廊桥)を見学。中心部を流れる錦江に架かる橋で、その歴史は元代(1271~1368年)まで遡れるらしく、マルコ・ポーロの旅行記にも「印象に残っている橋」として登場する由緒正しい橋。なお、現在の姿は2003年に再建されたもの。
成都西駅から寝台列車に乗車
寄り道後、東門大橋駅から地鉄2号線に乗車し、続いて中医大省病院駅で4号線に乗り換え、40分ほどで今日の寝台列車が出る成都西駅へ。

成都に到着した際に利用したのは成都東駅。東駅は高速鉄道のターミナル駅なのに対し、西駅は在来線のターミナル駅だ。

東駅とは打って変わってそんなに広くない駅構内。今までの中国国鉄の駅と違って小ぢんまりとしており、駅構内にもローソンやKFCがあるぐらいだった。

今回乗るのはK2616次・成都西発蘭州(兰州)行き。
この駅を発着する列車は無印(普客列車)、K列車(快速)、Z列車(直達特快列車)と、G列車(高速動車)やD列車(動車)は全く表示されていないので、やはり東駅とは完全に使い分けられているようだ。
しかし、青島や揚州、更には内モンゴル自治区の呼和浩特など、行先自体はかなり遠くのものも見られる。一体どのくらいかかるのだろうか…
そうこうしていると改札が始まったのでホームへ。



側面のサボ。嘉峪関は蘭州と同じ甘粛省の都市で、蘭州よりも先にある都市。でも、連結して運行しているなら成都西→蘭州・嘉峪関と表示するのでは…?

ところで、今日乗るのは硬臥車。中国国鉄の寝台には「高軟」、「軟臥(動臥)」、そして「硬臥」の3つのグレードがあり、名前から察する通り「硬臥」は寝台車の中では最低グレードだ。

そんな硬臥車の車内の様子はこんな感じ。いわゆる開放型寝台で、3段ベッドになっている。上海→成都で利用した「軟臥(動臥)」は4人1部屋のコンパートメントタイプで、居住性も中々のものだったので、それに比べるとかなり格落ちしたなと感じる。狭いし。
それでも横になれるだけで大変ありがたい。「硬臥」とは言うが、別にそこまでベッドも硬くない。
そしていざ発車すると、車内にはカップラーメンの香りが立ち込め、車掌は大声で何かを叫びながら車両を往復、極めつけは人を押し退け無理矢理通っていく車内販売…ああ、物凄く「中国」を感じる空間だ。

消灯は意外と早く、21:30には電気が消された。車内は落ち着きを取り戻し、列車は蘭州に向けて飛ばし始めた。
暖房が効きすぎていて暑かったのはご愛嬌。



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